田んぼ仕事で「生きる力」を!〜古墳のとなりでお米にタマネギ,菊づくり!〜

平成27年6月19日に国史跡に指定された大野原古墳群の隣に位置する大野原中学校は,県下で唯一「勤労体験学習」に取り組んでいます。1・2年生は,初夏に田植えをして,秋に米を収穫。冬にタマネギの苗を植えて,春に収穫しています。3年生は菊づくり。11月1日の収穫祭「ラブ・ジ・アース」で大輪を披露しています。

農繁休業が最後まで

 大野原中学校は,香川県西部の田園地帯に位置しています。校区は県内有数の農業地帯で,「らりるれレタス」が有名です。本校は,農繁期に授業を一定期間休み,自宅で農業を手伝う「農繁休業」を香川県で最後まで続けていた学校です。今でも校区は,春に麦や野菜で,夏や秋には力強い稲穂で見渡す限り視界が埋め尽くされます。また,家族が野菜を作っており,農協に出荷しているという家庭もたくさんあります。

伝統の勤労生産学習


 大野原中学校は学校農園も持っています。その田んぼで,昭和61年から現在に至るまでの30年間,「勤労体験学習」に取り組んできました。地域の人々から,水稲やタマネギ,そして鑑賞菊の栽培方法を教えていただきながら,「食料自給率の向上」や「地産地消の意義」を実地で学んでいます。1・2年生は米作りタマネギづくりに,3年生は菊づくりに励んでいます。
 この「勤労体験学習」で大切にしていることは,「自分たちの力」で行うということです。例えば米作りは,弥生時代から続く日本の文化であると同時に,現在でも生計を立てるために職業として行っている人の営みです。こういった文化や食の大切さを感じるため,今では田植え機やコンバインなどの農機具で行うような作業も,すべて自分たちの人の手で行っています。

「大中米」で総合学習


 夏の田植えは一大行事です。すべての1・2年生が,サンダルと体操服で田植えに挑みます。クラスごとに一列に並び,先生方が田んぼに渡した目印の付いた網に沿って,小さい苗を植えていきます。もし足を滑らせてしまったら,あっという間に泥だらけになってしまいます。ぬるぬるの泥に足を入れた感触は,初めは気持ち悪いのですが,すぐに温かく心地よくなってきます。足も真っ黒になりますが,終わった後に冷たい水で足を洗うのはとても気持ち良くて,「田植えも悪くないな。」と思わせてくれます。秋になると稲刈りをします。鎌は慣れないと使いづらいし,太い稲はなかなか刈れなかったり,細い稲の筋が肌を刺してチクチクしたりします。しかし,「ざくっ」といい音を立ててうまく刈り取れると,大きな達成感があり,「 農業っていいなあ。」と思います。

収穫の喜びをお裾分け

 収穫したお米やタマネギの大部分は農協に出荷しますが,一部は学校給食センターと校区内の老人ホームに寄付します。町内の幼稚園児からお年寄りの皆さんに喜んでもらえていることに誇りを感じています。

 私たちも,タマネギのお裾分けをいただき,家庭で調理をして家族を喜ばせています。今年度は,給食委員会が「大中オニオン・ブック」というタマネギ料理のレシピ本を作成して全校生に配布しました。その中の「タマネギのコンソメ煮」は,家族全員を驚かせるほどのおいしさだったようで,PTAのみなさんに大好評でした。
 昨年度の9月1日には,避難所での生活を想定した防災給食を体験しました。メニューは,「大中米」で握ったおむすびと,市の危機管理課から提供されたカンパン三個とサンマ缶少々のみ。炊きたての新米はほかほかで,とってもおいしかったのですが,「このようなご飯が毎日続くと耐えられないだろうなあ。」とみんな思いました。

田んぼの横に国の史跡

 学校農園のすぐ近くに古墳があります。誰もが特別では稀な例で,古墳時代後期の四国や西日本における政治や社会の在り方を知る上で重要だと言われています。


社会科の授業で,我が国に稲作が伝わってきたのは弥生時代であると習いました。石包丁を使って稲の穂を刈り,杵でもみ殻を取り除き,山菜や雑穀を混ぜ,多めの水を入れた土器で雑炊のようなものを作り食べていたようです。道具は変わったとはいえ,お米を育てて食べる生活は,弥生時代も古墳時代も,江戸時代も今の平成の時代もほとんど同じです。私たち大中生は,古代の人々と同じ大地に立ち,稲作という日本人の「生きる力」を学んでいるのです。
現在では,国史跡に指定されたことから,歴史講座や研修,古墳の一般公開,探検企画などのイベントが多く開かれています。国史跡に指定されたことによって,観音寺市の文化を法的裏付けを持って全国発信することが可能となりました。それによって,未来を担う私たちがふるさとについて学ぶための学習対象にもなり,観光資源としてだけでなく多角的な効果が期待されています。また,「大野原古墳群」の一つ,碗貸塚古墳から連想したゆるキャラ「碗かっし〜」の制作についても企画されているそうです。観音寺市民の私たちも楽しみです。

収穫祭「ラブ・ジ・アース」


 この「勤労体験学習」から生まれた学校行事に,「ラブ・ジ・アース」があります。もともとは豊かに実った農作物たちや,お米やタマネギを育ててくれた大地への感謝の気持ちを込めた収穫祭でした。いまでは収穫祭の要素は弱まり,学級対抗の合唱コンクールが中心になっています。当日は,三年生が丹精こめて育てたで体育館のステージや校内の通路が飾られ,生徒だけでなく大勢の保護者の皆さんの目と心を潤しています。

ラブ・ジ・アース」の合唱コンクールに向けた学級全体での取組は,私たち大中生の背骨になっています。思いは熱く,今年度は五月から準備をスタートさせているクラスもあります。「大中グランプリ」を目指して練習に取り組む期間には,男女間の言い争いや,真面目に練習しない友達への叱責や励ましなど,さまざまな問題が発生し,その都度解決を図ります。先生方も親身になって指導してくれたり,励ましてくれたりします。生徒と先生とが創り上げるこのドラマも,「勤労体験学習」の産物であり,大中生の「生きる力」を高めてくれます。

ウォッチング「難読地名の大野原に,来て・見て・食べて!」

 皆さんに問題です。
大野原には「」と書かれる地域があります。何て読むと思いますか?中学1年生の時,こんなことがありました。僕が秋祭りに参加していた時,たまたま目に入った太鼓台に「」という自治会名が書かれていたので,友達に「あの『はやし』ってところの太鼓台すごいね」と言ったところ,「あれは『はい』って読むんだよ」と言われて,驚きました。大野原には「普通,こうは読まないぞ」という地名が多く存在しているのです。

それではクイズです。それぞれの地名の読み方を考えて下さい。
@ 海老済
A 残水
B 石砂
C 大造
D 赤岡
E 唐井出
F 下木屋
G 寺家
[解答は最終部]

さて,いくつの地名を正確に読むことができましたか?みなさん,「難読地名の宝庫」大野原がどんなところか見に来て下さい。
見どころもたくさんあります。大野原には「生木のお地蔵さん」と呼ばれている地蔵があります。いまも成長している生木(いきき)に彫られた,珍しい胎内物です。約180年前に,地元の庄屋さんが病弱な娘の健康を祈願し,三ヶ月で彫ったと言われています。「生木地蔵尊」は一見の価値ありです。
グルメもいいですよ。中学校横の和菓子屋さんの「生いちご大福」は絶品。「だんご汁」や「手作り豆腐」も大人気です。ショッピングモールなどはありませんが,十分楽しめますよ!ぜひ,大野原へ来て,見て,食べて,驚いてくださいね。

[クイズの解答]
@ えびすくい,A のこず,B いっさこ,C おおぞう,D あこか,E からいで,
F しもぎや,G じけ